RNA work

アルコール沈殿の原理 ~アルコール沈殿の原理や豆知識をイラスト付きで解説~

アルコール沈殿とは

核酸(DNA、RNA)を精製、濃縮する方法である。核酸をアルコールと塩で凝集させて沈殿を得ることにより行う。アルコールとしてエタノールを使う場合はエタノール沈殿(エタ沈)と呼ばれる。

何のために行うのか

アルコール沈殿を行う理由は大きく2つで一つは精製(buffer置換)もう一つは濃縮である。

アルコール沈殿では核酸が沈殿するときに塩類は沈殿してこないため、核酸溶液中の塩類を取り除くことができる。例えば、余計な塩が入ったbufferに核酸を溶かしていても、アルコール沈殿後に水や好みのbufferなどに溶かし、容易にbufferを置換することが可能である。またこの時、少ない量(例えば10 μL)の水やbufferで核酸を溶解することで核酸溶液を濃縮することができる。

アルコール沈殿の概要

一般的な方法プロトコル見本

アルコール沈殿のプロトコル

原理

核酸は極性を持つため、水に溶けアルコールには溶けない。しかし核酸溶液にアルコールを加えてもそのままでは沈殿ができにくい。これは核酸中のリン酸基が負電荷を持っていて核酸分子同士が反発することで凝集しにくいことが原因となっている。そこでここに、ナトリウム塩などの塩を加えリン酸基の負電荷を中和しすることで、核酸が凝集しやすくなるため、アルコール溶液中で沈殿を形成することができるようになる。これがアルコール沈殿の原理である。

アルコール沈殿の原理

豆知識

塩の使い分け

アルコール沈殿でよく使用する塩には以下の4つがある。ここでは4つの塩の使い分けのポイントをまとめる。

・酢酸ナトリウム

最も一般的に使われる塩である。

・酢酸アンモニウム

dNTPの溶解度が高いため、反応に使われなかった余剰のdNTPを取り除く目的で使われる。リガーゼ(ligase)やキナーゼ(kinase)や一部の制限酵素がアンモニウムイオンで阻害されるため注意が必要。

・塩化リチウム

塩化リチウムはアルコールに溶けやすいため核酸と一緒に沈殿(共沈)することがほとんどない。そのためRNAの濃縮など効能でのエタノールを用いる時に使われる。塩化物イオンは逆転写反応を阻害するため、逆転写に用いるsampleには適していない。

・塩化ナトリウム

SDSを可溶化することができるため、溶液中のSDSを取り除くために使われる。塩も共沈するため70%エタノールでの洗浄をしっかり行う必用がある。

キャリア(共沈剤)

核酸の量が少ない場合にアルコール沈殿を行っても沈殿はできるが、沈殿が目視で確認できないことも多く、作業中に誤って核酸を捨ててしまうリスクがある。また量が少ないsampleでは核酸の回収率も低くなる。

この問題を解消するためにキャリア(共沈剤)というものが使われる。キャリアはアルコール沈殿によって核酸と共に共沈するため、キャリアを使うことで沈殿の目視が容易になり、また回収率も高くなる。グリコーゲンやアクリルアミドが代表的なキャリアとして使われる。

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