実験手法解説

培養細胞へのコンタミの原因と見分け方【画像・動画リンクあり】

・培養細胞がコンタミしているかをどうやって確認するの?

・実際のコンタミしたらどうなるか画像や動画で見たい

・コンタミの原因を知りたい

こんにちは。大学で助教をしているHiro(@THiro70217938)といいます。

研究歴は12年、細胞培養歴は9年です。

この記事では、「細胞がコンタミしていないか不安」、「コンタミがおきるとどうなるんだろう」、「実際にコンタミが起きている細胞を見てみたい」といった人向けの記事です。

この記事を読めば、「コンタミが起きた時の変化」がわかり、「コンタミしたときにもすぐに気が付ける」ようになります。

コンタミの原因一覧

コンタミの原因になるのは主に、細菌酵母カビウイルスマイコプラズマクロスコンタミネーションクロスコンタミ)です。

この中で細菌・酵母・カビがコンタミすると「顕微鏡で見ると細胞以外のものが存在する」、「培地が濁っている」、「培地のフェノールレッドが黄色になる」といった変化が起き、目視によって確認することができます

ウイルス・マイコプラズマは目視では確認できないため、コンタミさせないようにすることが重要です。

コンタミの原因とコンタミが起きたときの変化

細菌・酵母・カビ

「細菌」「酵母」「カビ」この3つのコンタミは目視で確認することができます。

培養を始めたての人は、画像や動画のリンクを用意しているので具体例を一度見てもらい、異変が起きたときにすぐに気づけるようにしておいてください。

細菌

初心者が経験するコンタミの多くが細菌のコンタミになります。

細菌は大きさが数µmであるため、顕微鏡で確認することができます。

球状・桿状・らせん状など様々なかたちをしていて、小さな粒が動いて見えます

さらに汚染が進むと、培地が濁る培地が黄色くなるといった変化が起き、容易にコンタミの確認ができます。

具体例を以下のリンクで確認してみてください。

動画

YouTubeで視聴したい方はこちら(Moving Bacteria in Cell Culture)

画像リンク

酵母

酵母も細菌と同じように大きさが数µmで、顕微鏡を使って確認できます。

かたちは球状で、汚染が重度になると培地が濁る黄色くなるといった変化が起きます。

以下のサイトの丸いものが酵母です。

画像リンク

カビ

カビは細いフィラメント状で、目視により確認できます。

カビの汚染が重度になると、みなさんがよく知っているカビのコロニーが見られるようになり、さらに培地が濁り黄色に変化します。

細菌・酵母・カビへの対処方法

細菌・酵母・カビなどがコンタミしていたらどうすればいいのでしょうか。

細胞のストックが余っているのなら、他の細胞へのコンタミの拡大を防ぐためにすぐに処分をしましょう。

また可能でしたら、使用していた試薬を全て新しいものにしインキュベーターを清掃しておきましょう。これによって二次被害を食い止めることができます。

コンタミの原因を確かめたい人は、使っていた試薬をそれぞれ細胞なしでディッシュに入れインキュベーターに入れて様子を観察しましょう。試薬がコンタミしている場合は、微生物の増殖が確認できます。

この確認によって他の細胞が汚染されることもあるので、コンタミがおきたときには先ず研究室の先生や先輩に相談したうえで、対応をしてくださいね。

ウイルス

ウイルスの大きさは数十~数百nmで、通常の顕微鏡では見ることができません。

そのため、ウイルスがコンタミしているかを判断するのは困難です。

ウイルスのコンタミを確認するためには、電顕・免疫染色・ELISA・PCRが必要になります。

マイコプラズマ

特徴

マイコプラズマは最も小さい自己増殖可能な微生物です。

大きさは1µm以下で、顕微鏡で観察することはできません

過去の調査では、約20%の細胞にマイコプラズマがコンタミしていると言われています。

マイコプラズマがコンタミすることで、細胞の代謝が変化したり、増殖が遅くなったりします

マイコプラズマの検出方法【ネスティッドPCR】

簡便かつ感度の高いPCR法」を紹介します。

1~2日で検出できます。一般的なPCRを行える人であれば問題なく実験ができます。

もっと楽に」、「確実に検出したい」人向けに、検出kitもまとめたので参考にしてください。

ネスティッドPCR法という、2回PCRを行うことで少ないDNAからでもDNAを大量に増幅できる方法を使います。少し時間がかかりますが検出感度が良いのが特徴です。

プロトコル

ネスティッドPCRによるマイコプラズマ検出プロトコル

マイコプラズマ検出用Kit

確実にマイコプラズマのコンタミを判断したい人は、さまざまなkitが売られているのでkitを試してみるのもいいと思います。

EZ-PCRマイコプラズマPCR検出キット(コスモバイオ)
VenorGeM Classic Mycoplasma Detection Kit(フナコシ)
TaKaRa PCR Mycoplasma Detection Set(TaKaRa)
LookOutマイコプラズマPCR検出キット(Sigma)

マイコプラズマの除去試薬

マイコプラズマが検出されてしまったら、細胞を新しいものにするかマイコプラズマの除去を行うする必要があります。

マイコプラズマの除去を考えている人は以下に除去試薬をまとめたので参考にしてください。

マイコプラズマ除去用抗生物質BIOMYCシリーズ(コスモバイオ)
Mynox-Mycoplasma Elimination Kit(フナコシ)
LookOutマイコプラズマ除去キット(Sigma)

マイコプラズマの予防試薬

マイコプラズマのコンタミリスクを減らすためには予防試薬も売られています。こちらもまとめたので参考にしてください。

感染予防用殺菌剤Pharmacidal, AQUAGUARD(コスモバイオ)
水に添加して雑菌の繁殖を抑える試薬WaterShield(フナコシ)
抗菌スプレー Mycoplasma-Off(フナコシ)
ウエットワイパーMycoplasma-OffWipe(フナコシ)
Mycoplasma-EXS-Spray(TaKaRa)

クロスコンタミネーション

クロスコンタミネーションとは、「複数種類の培養細胞が混ざること」を指します。

研究室内では、複数の細胞を培養しているときに、同じ培地や器具を使って細胞が混入することが原因になります。

複数の細胞を扱う場合は、細胞によって培地を使い分ける同時に複数の細胞を使って作業をしないなど、クロスコンタミが起きないように工夫をしましょう。

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