実験手法解説

なぜ培地にフェノールレッドを入れるのか【培地が赤い理由】

・なんで培地は赤いの?

・フェノールレッドってなに?

・培地の色が変わることがあるけど何が起きているの?

こんにちは。Hiro(@THiro70217938)です。

研究歴12年、細胞培養歴9年で今は大学で助教をしています。

細胞培養に使う培地って全部赤いですよね。

実は培地が赤いのには大事な理由があります。

この記事では、なぜ培地が赤いのかを説明していきます。

培地が赤い理由を知ることで培養のトラブルを事前に防ぐヒントになるので、ぜひ読んでいってくださいね。

培地はなぜ赤いのか

培地はなぜ赤いのか。

それはフェノールレッドが入っているからです。

フェノールレッドとはpH指示薬(pHによって色が変わる物質)の1つです。

フェノールレッドを入れることで培地のpHが中性に保たれているかを色で判断することができるのです。

pHが中性だと培地は赤色ですが、酸性やアルカリ性になると色が変化して培地の状態がよくないことに気づけます。

pH変動による培地の色の変化(具体例あり)

培地(フェノールレッド)の色の変化を具体的に解説します。

pHが中性付近(pH=7.2~7.4)だと培地は赤色です。

培地が酸性になると色は黄色に変化し、アルカリ性では赤紫色になります。

pHによる培地の色の変化

培地のpHが変化する要因

培地のpHはなにが原因で変化するのでしょうか。

培地が酸性になる原因

培地が酸性になる原因は2つあります。

1つ目の原因はオーバーグロース(細胞の増えすぎ)です。

細胞が盛んに増殖すると培地中に代謝物である乳酸などが分泌され、培地が酸性になります。

2つ目の原因は微生物のコンタミです。

微生物が大量にコンタミした場合には、前ぶれなく培地の色が黄色くなるので、黄色に変化した培地を見つけたときは要注意です。

すぐに対処しましょう。

微生物のコンタミについて知りたい人は「細胞培養でのコンタミの原因と見分け方【画像・動画へのリンクあり】」を読んでみてください。

培地がアルカリ性になる原因

CO2インキュベーターが故障した場合や、外に細胞を置きすぎると培地がアルカリ性に変化します。

培地のpHはCO2濃度が5%の時に中性に保たれるので、CO2濃度が適切に保たれるようにしましょう。

CO2インキュベーター外で細胞を長時間使わないといけない場合はHEPESを培地に加えることで、pHの変化を抑えることができます。

CO2インキュベーターやHEPESについては別の記事で解説しているので、興味がある人はのぞいてみてください。

【3分でわかる】細胞培養時のCO2濃度はなぜ5%なのか【理由を解説】 ・細胞培養の時になぜCO2濃度を5%にするんだろう? ・CO2濃度を5%にしないとどうなるの? こんにちは。Hi...

まとめ図

培地のpHが変化する要因

フェノールレッドを使うときの注意点

フェノールレッドを使うときに1つだけ注意することがあります。

フェノールレッドは女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似ていることから、弱いのですがエストロゲン作用を持っています

そのためエストロゲンの効果を調べる実験をするときには、フェノールレッドが含まれていない培地を使う必要があります。

フェノールレッドが含まれていない培地も販売されているので、必要になったら調べてみてください。

例:DMEM(フェノールレッド不含)Wako

まとめ

まとめ

・培地が赤いのはフェノールレッドを入れてpHを調べるためである

・培地が赤いときはpHが中性である

・細胞のオーバーグロースや微生物のコンタミが起きると培地が黄色になる

・CO2濃度が低いと培地が赤紫色になる

・フェノールレッドはエストロゲン作用を持っているので、エストロゲンを調べるときには使用しないこと

培地の色をしっかりチェックすることで培地のpHがわかり、細胞を最適な条件で培養することができます。

まずは、中性の時の培地の色を覚えておきましょう。

細胞培養の基礎知識全般を抑えたい人は「【細胞培養初心者向け】細胞培養の基礎知識を解説!」をご覧ください。

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