論文(専門)

脈絡膜の血管はインディアンソニックヘッジホッグによって炎症状態を制御する

今回の論文では、脈絡膜の血管がインディアンソニックヘッジホッグ(Ihh)を分泌することで、マスト細胞とマクロファージを制御し脈絡膜の炎症状態をコントロールすることを明らかにしている。

J Exp Med, 2020, Single-cell profiling reveals an endothelium-mediated immunomodulatory pathway in the eye choroid

今回の論文では脈絡膜と色素上皮に注目し実験を行っている。

脈絡膜や色素上皮の画像はこちら(Google画像検索にとびます)

脈絡膜と色素上皮を単離しシングルセルRNAシークエンスを行い、血管内皮細胞にヘテロジェナイティーが存在することがわかった。

血管内皮細胞はVEGFR2の発現レベルで3種に分けることができ、VEGFR2高発現群ではIhhの発現が著しく高かった。

Ihhの活性化の下流因子であるGli1陽性細胞を調べ、脈絡膜に存在する間葉系細胞がIhhのターゲット細胞であることがわかった。

血管内皮細胞特異的Ihh欠損マウスでは、Gli1陽性の間葉系細胞における炎症性遺伝子の発現が減少していた。

血管内皮細胞特異的Ihh欠損マウスでは、マスト細胞マーカー遺伝子とM2マクロファージ遺伝子の発現量が減少し、実際にマスト細胞数とマクロファージにおけるM2マーカータンパク質発現量が減少していた。

血管内皮細胞特異的Ihh欠損マウスにNaIO3を投与し色素上皮細胞死を引き起こしたところ、野生型マウスと比べて炎症性サイトカインの発現が高く、視覚障害が亢進していた。

これらの結果より、脈絡膜のVEGFR2を高発現する血管内皮細胞はIhhを分泌し、間葉系細胞を制御することで、マスト細胞とM2マクロファージを増加させ、これが脈絡膜や色素上皮における炎症状態を抑えると考えられる。

著者は加齢性黄斑変性の治療に本知見が活用できるのではないかとコメントしている。