論文(一般の方向け)

父親の肥満によって娘の糖尿病リスクが増加する

見た目や元々の体質が遺伝することは皆さん知っていると思いますが、実は父親の不摂生による肥満が、将来産まれてくる娘に悪影響を及ぼすかもしれないということが、少し前のラットを使って研究によって明らかになっています。

これは2010年に発表された論文になります(引用1)。この論文では、ラットを用意して普通のエサを食べさせるラットと、脂肪が豊富に含まれている食事(高脂肪食)を食べさせるラットの2種類を用意、それぞれの父親ラットの娘にどのような変化が起きるかを調べています。

先ず、父親のラットですが高脂肪食を与えられたラットは普通のエサを与えられたラットに比べて、体重や脂肪の量が増え糖尿病の状態になっていました。

そして、次にそれぞれのエサを食べた父親ラットの娘が大人に育った時にどのような変化が起きたかを解析しました。その結果、いずれの食事を食べた父親ラットの娘も体重と体脂肪には差がありませんでした。しかし、通常のエサを食べた父親の娘と比べて、高脂肪食を食べた父親の娘はグルコース(糖)を摂取した時にインスリンが分泌されにくくなっており、その結果血糖値の下がりが悪くなっていました。これは父親ラットが肥満になっていると、娘ラットの糖尿病リスクが増加することを示唆しています。また、娘ラットのインスリン分泌が悪くなっている理由として、膵臓に存在するインスリンを作る細胞が少なくなっていることが分かりました。

もしこれが、人間に当てはまるとすると不摂生の父親のせいで娘は糖尿病のリスクが増えてしまうという悲しい結果となってしまいます。実際にラットの実験が100%人間に当てはまるかはわかりませんが、これからお子さんが欲しいと思っている男性は、将来の娘の健康のために太りすぎないように運動をしたほうがいいかもしれないですね。また、女性もパートナーの男性が太っているなと思ったら、それとなくダイエットをおススメするといいかもしれませんね。

引用1: Chronic high-fat diet in fathersprograms β-cell dysfunction in female rat offspring . Nature, 4667, 963-966 (2010)

www.nature.com