遺伝/遺伝子

グリフィスの実験をわかりやすく解説【高校生物基礎復習】

グリフィスの実験は遺伝子の本体がDNAであることを示した一連の研究のうちの1つです。

グリフィスは肺炎双球菌という細菌を使った実験で、遺伝的形質を変化させる現象である形質転換を発見しました。

形質転換の発見はエイブリーの実験のきっかけとなり、遺伝子の本体がDNAであることを発見するのに大きく寄与しました。

グリフィスの実験は一見難しいですが、できるだけわかりやすい表現と図を使って解説します。

ぜひ暗記するのではなく、グリフィスの実験をイメージできるように役立ててください。

グリフィスの実験の位置づけ

グリフィスの実験は「遺伝子の本体はDNA」であることを示した以下の3つ実験のうちの1つです。

3つの実験のうち、一番最初に行われた実験で、形質転換という現象を発見したことが、この実験の大事なポイントです。

グリフィスの実験で見つかった形質転換をヒントにして、エイブリーの実験が行われて、遺伝子の本体がDNAであることが世界で初めて示されました。

グリフィスとは

グリフィスはイギリスの細菌学者です。

1877年に生まれ、1941年に亡くなりました。

肺炎双球菌の研究を行っていて、その一環として1928年にグリフィスの実験を行いました。

形質転換を発見するものの、形質転換因子(遺伝子)が何かが判明する前に亡くなりました。

グリフィスの死後に行われた様々な実験により、彼の実験の重要性が認識されることとなり、生きている間にはグリフィスの功績はあまり認知されませんでした。

実験の目的

グリフィスは肺炎双球菌の研究を行っていて、肺炎双球菌にはS型R型の2種類があることを発見していました。そしてS型とR型の病原性の違いを調べるために、1928年にグリフィスの実験を行いました。

肺炎双球菌の種類(S型とR型)

肺炎双球菌にはS型とR型の2種類が存在します。

S型とR型の違いは以下の通りです。

肺炎双球菌S型菌とR型菌の違いについて
S型菌の特徴
  • 細菌が被膜に覆われている
  • 被膜があるので免疫細胞の攻撃から身を守ることができ、体内で増殖することができる
  • 病原性が強い
  • 寒天培地で培養(飼う)してできたコロニー(最近の集合体)の形がなめらか(Smooth)であることからS型と呼ばれる。
R型菌の特徴
  • 被膜を持っていない
  • 免疫細胞の作用によって殺され、体内で増殖できない
  • 病原性は弱い
  • コロニーはしわを持っている形(Rough)をしているためR型と呼ばれる。

コロニーとは

寒天培地で肺炎双球菌を培養(飼う)ことができます。寒天培地上で増殖した肺炎双球菌は最近の集合体を作り、この集合体のことをコロニーと呼びます。

実験方法と結果・考察

グリフィスは実験用のマウス(ネズミ)に肺炎双球菌をいろいろなパターンで接種し、マウスが生存するかを調べることで病原性を調べました。

実験方法

グリフィスの実験では以下の4つのパターンが試されました。

グリフィスの実験-実験方法4パターンの説明
  1. 生きているS型菌を接種
  2. 生きているR型菌を接種
  3. 煮沸殺菌して死んだS型菌を接種
  4. 煮沸殺菌して死んだS型菌と生きているR型菌を同時に接種

煮沸殺菌

沸騰したお湯で熱することで菌を殺す方法

実験結果と考察

上記のパターンを試した結果のまとめは以下の通りとなります。

グリフィスの実験-実験結果まとめ図
  1. マウスは死亡した。マウスの体内からS型菌が検出された。
  2. マウスは生存した。マウスの体内からR型菌は検出されなかった。
  3. マウスは生存した。マウスの体内からS型菌は検出されなかった。
  4. マウスは死亡した。マウスの体内からS型菌が検出された。

1~4の実験結果に考察を今から解説します。

結果1
S型菌は被膜を持っているので、免疫細胞に攻撃されずに増殖することができます。そのためマウスの体内で増殖して、マウスが死亡したのです。当然死んだマウスからは増殖したS型菌が検出されます。

結果2
R型菌は免疫細胞に攻撃されて排除されます。そのためマウスは生き残ることができ、R型菌が検出されることもありません。

結果3
S型菌は煮沸殺菌で死んでいるので、マウスに接種しても何も起きません。

結果4
S型菌は煮沸殺菌で死んでいるにもかかわらず、マウスは死んでしまい、さらに死んだマウスの体内ではS型菌が増殖していました
この現象はR型菌がS型菌に変化したと考えるとつじつまが合います
それではどのようにR型菌がS型菌に変化したのでしょうか。
実験2よりR型菌だけを接種してもマウスは死なないので、R型菌が自然にS型菌に変化することはありません。
つまり、S型菌が持っていた物質がR型菌に移動することで、R型菌がS型菌に変化したと考えられたのです。
この実験ではR型菌をS型菌に変化させた物質までは分かりませんでしたが、後の実験でR型菌をS型菌に変化させるのは遺伝子であることが分かりました。

グリフィスの実験の考察と形質転換の説明

グリフィスの実験でわかったこと

肺炎双球菌では病原性という形質を遺伝させる、何らかの物質が移動してR型がS型に変化することが、グリフィスの実験で判明しました。

この他の生物に形質を遺伝させる現象を形質転換といいます。グリフィスの実験では形質転換が初めて発見されたということになります。

グリフィスの実験の意義

グリフィスが見つけた形質転換をヒントにエイブリーが実験を行い、形質転換を起こす物質がDNAであることを突き止めました。

このエイブリーの実験により、遺伝子の本体がDNAであることが明らかになりました。

引き続きエイブリーの実験を勉強したい人は、ぜひ解説記事をご覧ください。

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画像引用元

免疫細胞・マウス・針付きシリンジはTogoTVの画像を利用させていただきました。

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