「免疫学的手法」の代表である
・免疫染色
・ウエスタンブロッティング
・ELISA
・フローサイトメトリー
はどうやって使い分けるのかを解説していきます
こんにちは。大学で助教をしているHiro(@THiro70217938)といいます。
免疫学的手法(抗原-抗体反応を利用した実験手法)には「免疫染色」、「ウエスタンブロッティング」、「ELISA」、「フローサイトメトリー」があるけど、「どうやってつかいわけるの?」「何が違うの?」と思っている人に向けてそれぞれの手法の特徴を簡単にまとめました。
この記事を見ることで、実験目的に適した実験手法を選ぶことができるようになります。
免疫学的手法とは
免疫学的手法とは抗原-抗体反応を使う手法の総称です。
目的の物質を抗原とする抗体を利用し、目的の物質を検出することができます。
免疫学的手法には「免疫染色」、「ウエスタンブロッティング」、「ELISA」、「フローサイトメトリー」があります。
・免疫染色
・ウエスタンブロッティング
・ELISA
・フローサイトメトリー
それぞれの手法で調べられることが違うので、違いを把握して適切な手法を使いましょう。

免疫学的手法の使い分け
免疫学的手法ではそれぞれ調べられることやメリットが異なります。
以下の表に簡単にまとめておきます。

ここからはそれぞれの手法について、詳しく見ていきましょう。
免疫染色
免疫染色は細胞や組織中のどこに目的のタンパク質が存在するのかを調べるための手法です。
免疫染色では細胞や組織をそのまま使用するため、タンパク質の位置情報を保持したまま解析できることが特徴です。
免疫染色に関する詳しい解説は過去の記事「【免疫染色とは】免疫染色を行う目的や免疫染色で出来ることを解説します」に書いているのでぜひ参考にしてください。


ウエスタンブロッティング
ウエスタンブロッティングはタンパク質の量を調べるための手法です。またタンパク質の分子量を知ることもできます。
ウエスタンブロッティングでは細胞や組織をすりつぶして調整した抽出液をサンプルとして使用します。そのため細胞内や組織内のタンパク質の位置情報はなくなります。ここが大きく免疫染色と異なる点です。
さらにウエスタンブロッティングでは、タンパク質を電気泳動により分子量で分離したのちに検出します。この操作により目的タンパク質の量だけでなく大きさ(分子量)も知ることができます。

ELISA
ELISAはタンパク質の量を調べるための手法です。ウエスタンブロッティングと比べて定量性が高いことや多くのサンプルを調べることができるのが特徴です。
さらにELISAの中でもサンドイッチELISAという手法では抗体を2種類利用し、両方の抗体と結合したもののみを検出するために、他の手法と比べてより特異的に目的の物質を検出できることがメリットとして挙げられます。
ELISAもウエスタンブロッティングと同様に、細胞や組織をすりつぶして調整した抽出液をサンプルとして使用します。

フローサイトメトリー
フローサイトメトリーは1つ1つの細胞の情報を調べるための手法です。この1つ1つの細胞を個々に調べることができるのが最大の特徴です。
フローサイトメトリーでは目的の組織から細胞を集めてきて、集めた細胞を1つずつ順番に測定していきます。これによって目的のタンパク質を持っている細胞の数や、それぞれの細胞が目的のタンパク質をどれだけの量持っている(発現している)かを調べることができます。

まとめ
~免疫染色~
・組織内や細胞内のどこにタンパク質が存在するかを調べることができる
~ウエスタンブロッティング~
・組織や細胞がどれだけの量のタンパク質を持っているか調べることができる
・タンパク質の分子量を調べることができる
~ELISA~
・組織や細胞がどれだけの量のタンパク質を持っているか調べることができる
・他の手法より定量性や特異性が高い
~フローサイトメトリー~
・個々の細胞がどれだけの量のタンパク質を持っているか調べることができる
今回紹介した4つの手法はいずれもよく使われる実験手法です。
論文にもよく出てくるので今のうちに特徴や使い分けを抑えておきましょう。
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免疫染色の基礎については「【免疫染色とは】免疫染色を行う目的や免疫染色で出来ることを解説します」で解説しているのでよかったら読んでみてください。
