RNA work

フェノールクロロホルム抽出の原理【図解付きでやさしく原理を解説】

フェノールクロロホルム抽出によるRNA分離イメージ

・フェノールクロロホルム抽出ってなに?

・なぜフェノールクロロホルム抽出でRNAを分離することができるの?

・クロロホルムは何のために使うの?

フェノールクロロホルム抽出で何ができるのか

フェノール・クロロホルム抽出はRNAを精製するステップになります。組織や細胞をホモジナイズすると、RNAの他にも細胞を構成する成分も一緒に抽出されます。例えば、DNA、タンパク質などがあります。フェノールを使うことでDNAとタンパク質とRNAを分けることができます。フェノールは水にある程度溶けますが疎水性の物質です。RNA抽出のステップで得られた溶液は、水の層とフェノールの層の二層に溶液が分離します。この時DNAはフェノール層に、タンパク質は水層とフェノール層の界面に、RNAは水層に移行します。

フェノールクロロホルム抽出でRNAを分離できる原理

ここでなぜそれぞれの層にDNA、タンパク質、RNAが移行するのかを解説します。先ずDNAとRNAについてです。DNAとRNAはほとんど構造が同じなのですが、それぞれフェノール層と水層に移行します。今回のRNA抽出時に用いる溶液は酸性になっており、DNAとRNAが持っているリン酸基の電離平衡はOからOHに偏り、リン酸基の電荷が打ち消されることでフェノール層に溶けやすくなります。この時、RNAはリボースの部分にOHを持ち、DNAは持たないため、RNAはDNAとは異なり水層に移行することになります(図1)。次にタンパク質ですが、タンパク質を構成しているアミノ酸には疎水性のものと親水性の両方が存在し、タンパク質変性剤によって高次構造がときほぐれた状態のタンパク質は疎水基がフェノール層に親水基が水層に移行しようとするため、フェノール層と水層の界面に移行します。これが、フェノールを用いたRNA精製の原理となります(図2)。

フェノールクロロホルム抽出によるRNAとDNAとタンパク質の分離イメージ

クロロホルムを使う理由

最後にクロロホルムを使う理由を解説します。クロロホルムはフェノールをRNA溶液から除去するために使用します。フェノールはタンパク質変性作用を持つので、精製したRNA溶液に混入することで、この先の逆転写やPCRといった酵素を用いる反応が阻害されてしまうので、必ず除去する必要があります。RNAは水層に溶けているのですが、フェノールは水にも溶ける性質を持っているため、実は水層にも一部フェノールが含まれています。そこで無極性であるクロロホルムを加えると、水層に溶けていたフェノールがクロロホルム層に移行し、フェノールを除去できます。

まとめ

フェノールクロロホルム抽出の原理はわかったでしょうか。いい実験をするためには原理の理解が重要なので頑張ってくださいね。

忘れてしまった人は、復習しに戻ってきてくださいね。

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