最近はコロナウイルスの影響で大学ではレポート課題が増えていて
- レポートってどうやって書くの?
- レポートのテーマはどうやって決めたらいいの?
- レポートを書く時にコツはあるの?どんな順序で進めるの?
と悩んでいる大学生は多いのではないでしょうか。
この悩みの原因の一つに「大学ではレポートの書き方を教えてくれない」というものがあります。
そこで「東京大学の梶谷真司先生」が7月17日にオンラインで【大学生のためのレポート講座】を開きました。この講座はYouTubeで見ることができます。
この記事では梶谷先生の講座内容を基に『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』の内容を補足することで、レポートの書き方の基礎をまとめました。
この記事を読むことで
- レポートに何を書けばいいのか
- レポート内容の材料を集める方法と具体例
- 効率よくレポートを作成するためのレポート作成手順
がわかります。
この内容をマスターすることで、今後のレポート作成がはかどるようになるだけでなく、この先レポートだけでなく様々な資料を作るときにも必ず役に立ちます。
【大学生のためのレポート講座】東京大学・梶谷真司先生
『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』石井一成 著
レポートとは
レポートを書くとは?=テーマについて自分が調べたことを書く
と【大学生のためのレポート講座】で梶谷先生は言っています。
これは『ゼロからわかる大学生のレポート・論文の書き方』では以下のように書かれています。
- 問題提起
- 主張
- 根拠の説明
- 信頼できるデータ
つまり
- テーマについて疑問を持ち
- 書籍・教科書・インターネットで調べものをし
- 得られた答えや自分の考えをまとめる
これがレポートなのです。
これをふまえて、レポートの作成の流れを学んでいきましょう。
レポート作成の流れ
ここからレポート作成の流れを説明していきます。
今までなんとなく文章を書いていた人も多いと思いますが、正しい流れでレポートを作成することで「効率よく」、「質の高い」レポートを作成することができます。
流れは以下に示していますが、いきなり文章を書くのではなく、入念な下準備が必要となります。
- 材料集め
- 単語・語句・箇条書きを使い、見取り図を作成
- 見取り図をもとにテーマを決める
- レポートに書く内容の順序と項目を決める
- 文章を書いていく
材料集め
まずはレポートを書くための材料(ネタ)集めから始めます。
材料の集める方法について梶谷先生が動画で以下のように言っています。
問い→テーマ、参考文献・資料に向ける→さらに問いかける
…この繰り返しで書く材料が増える
これは
- テーマ・参考文献・資料に対して問いや疑問を持ち
- 問いや疑問の答え基礎資料を使って調べる
- さらに答えに対しさらに問いかけ新たな疑問を得る
といった流れになります。
この方法により、どんどん問いや疑問ができレポートの材料が増えていきます。
さらに「問いがなかなか思いつかない人」は梶谷先生のおすすめする以下の方法で問いを考えてみてください。
何を問い、考えればいいのか?
- 主題:何について書くのか
- 論点:大事な点は何か
- 順序:どのような順序で書くのか
- 状況:「いつ」「どこ」「誰」「何」「なぜ」「どのように」
- 例示:「どんな例があるか」「具体的にはどういうことか」
- 定義:「○○とはどういう意味か」「○○とは何か」
- 関係・比較:「○○と□□はどのように関係しているか/違うか/似ているか」
- 意見:「それについてどう思うか」(なぜそう思うか)
これを参考に問いを生み出していきましょう。
ここでポイントなのが無理に「全部使う必要はない」「ここで挙げているものがすべてではない」ということです。
この項目は問いを考えるための一例でしかなく、最終的にはこの先のレポート作成を楽にするための材料をたくさん集めることが目的となります。
そのため、無理に全部使わなくても、他の観点から問いを作っても全く問題ないのです。
いまいちイメージができない人もいると思うので、一つ具体例を使って考えてみましょう。
テーマは「タバコが健康に与える影響」にしてみます。
状況、例示、定義、関係・比較を使って問いを列挙しました。
以下を参考にしてレポートのテーマに対する問いをぜひ考えてみてください。
状況
- いつからタバコによる健康被害が問題視さ始めたのか
- どこでタバコによる健康被害が問題になっているのか
- どのような人がタバコの影響を受けるのか
- なぜタバコは健康によくないのか
- どのようにタバコによる健康被害が起こるのか
例示
- タバコに関連する病気にはどんなものがあるのか
- どれくらいの期間タバコを吸うと疾患のリスクが増加するのか
定義
- 疾患の原因がタバコであることをどのように定義するのか
関係・比較
- 1日のタバコ喫煙量と疾患リスクの関係
- 喫煙者の疾患リスク増加に性別は影響するのか
- 紙巻きタバコと加熱式タバコが研究に与える影響の違い
単語・語句・箇条書きを使い、マインドマップを作成
しっかり材料を集めたら次にマインドマップを作成しましょう。
マインドマップとはテーマを中心に関連キーワードを放射状につなげていく思考法です。この方法を使うことで複雑な内容でもシンプルに整理することができます。
下図はマインドマップの一例です。

マインドマップの作り方は以下の通りです。
- 中心にキーワードを書き丸で囲む
- 関連キーワードを記入し線で結ぶ
- 関連キーワードから思いついたことを記入し線で結ぶ
- マインドマップを作っているあいだに重要なキーワードが見つかれば、そのキーワードを中心にしたマインドマップを追加で作成する
マインドマップは思考を整理するために使うものなので必要以上にきれいに書いたり、レイアウトにこだわる必要はありません。
レポート作成にマインドマップを利用するときのポイントは
- 準備した材料を活用する
- 文章を使わず単語や箇条書きで情報を書いていく
- 今後使うかは気にせずに思いついたことを全て書いていく
特に「文章は使わない」ように意識してください。
文章を書こうとすると、文章を書くことに労力を取られてしまい考えがまとまらなくなってしまいます。また、文章を書いてしまうとあとから情報を取捨選択して修正するのが難しくなってしまいます。
さらに取捨選択はこの先行っていくので、先ずはレポート作成に使えるかは気にせずに、思いついたことはすべて書くようにしてください。
ここでうまくマインドマップを作れない人は、材料集めの段階に戻って基礎資料をしっかり読みましょう。
マインドマップをもとにテーマと流れを決める
ここまで来たらようやくレポートのテーマと流れを決めます。
テーマを決めるときは
- マインドマップをながめて、レポートのテーマになりそうなキーワード・話題の候補を選ぶ
- 候補のなかから、興味のあるもの・価値があるもの・難しすぎないものに決定する
ようにしましょう。
さらにテーマを決めた後に「目標規定分」を作りましょう。
目標規定分とは『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』に書かれている、レポートのテーマや主張を短い文章に表したものです。
目標規定分の具体例は以下に記します。
私は、本稿(この論文・レポート)でAについて、論じる。Bを考察し、Cという結論を導く。
Aにはテーマを疑問文のかたちで
Bにはどのようなデータや根拠をもとに考察をするか
Cにはあなたの現時点での主張や答え
を書き込みます。
例えば
私はこのレポートで加熱式たばこは健康被害を抑えるのかについて、論じる。加熱式たばこに含まれる成分と健康に与える影響を考察し、加熱式たばこへの移行は健康被害を抑えるのには不十分であるという結論を導く。
となります。
これでレポートの大枠が決まります。
レポートに書く内容の順序と項目を決める
次は具体的なレポートの構成を作ります。
この構成づくりはレポートの分量が多いほど重要です。
レポート構成は
- はじめに
- 章
- おわりに
が基本となります。
はじめにでは
- 取り扱うテーマはなにか
- どのように考察ををするのか
- 最終的な結論はなにか
をごく簡単に書いていきます。簡単なレポートでは5行程度を目安にするとよいです。
章では
- どのような根拠があるのか
- 結論に至るまでの考えの過程
を書いていくことで、実際の根拠を示して自分の考えを論じていきます。
もちろんここがレポートで最重要であり、自分の最終的な結論を主張するために、「どの材料を使うのか」、「どの順番で説明するのがいいのか」を考え章立てをデザインする必要があります。
おわりにでは
- 各章で述べた意見・考察を簡単にまとめ
- 最終的な主張をもう一度繰り返し強調する
これによって最後にもう一度あなたの主張を簡単に整理します。
具体的にこれをふまえると以下のような構成が出来上がります。
レポートの内容や分量によってどんな構成にするかは調整してみてくださいね。
タイトル:紙巻きタバコから加熱式タバコへの移行はタバコによる健康被害にどのような影響を及ぼすのか
第1章:はじめに
第2章:紙巻きタバコと加熱式タバコの比較
2-1:タバコの仕組み
2-2:含まれる成分
2-3:健康に与える影響
第3章:加熱式タバコへの移行による喫煙者の変化
3-1:加熱式タバコへの移行率
3-2:加熱式タバコへの移行理由
3-3:喫煙本数の変化
第4章:加熱式タバコが健康に与える影響
4-1:動物実験の結果
4-2:疫学調査の結果
4-3:将来予測される健康被害について
第5章:おわりに
文章を書いていく
最後に構成をもとに文章を書いていきます。
レポートの道筋はできているので、話がわき道にそれることなく結論まで無駄なく書くことができます。
逆にここまでで構成をしっかり作っていない人は、書いている途中で話がそれて支離滅裂なレポートになってしまいます。
文章は一気に書いていくのではなく、以下のことを意識して書いていきましょう。
- 構成をもとに主要なところを1-2文で埋めていく
- 必要に応じて新たな調べ物をし内容を追加、削除していく
- 修正した場合は構成を修正し全体像を再チェックする
- 1パラグラフに1主張を入れることを意識して全体の文章を書いていく
参考動画と書籍
参考動画
参考動画は「東京大学の梶谷真司先生」の【大学生のためのレポート講座】です。
2時間をこえる長時間の動画ですが、非常に有益な動画なのでぜひ見てみてください。
参考書籍
参考書籍は『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』石井一成 著です。
この書式では
この本はとてもわかりやすく、レポート書き方を解説してくれています。
今回の記事でも『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』を参考にした部分が多いです。
具体的な内容は以下に抜粋します。
- レポートをを書くための10のステップ(具体例つき)
- 参考資料の探しかた
- 引用のルール
- レポートの見本(1つ)
これは大学のレポートだけでなく、卒業論文や社会人になってからの書類づくりにも役立つ内容になっているので、これを機にぜひ勉強してみてください。
1200円と安いので、ランチを1回我慢してでも将来への投資として、今のうちにレポートを書く力を身に付けつ価値は十分にありますよ。
おわりに
ここまで見てくれてありがとうございました。
少しでもレポート作成の参考になればうれしいです。
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